フューチャーセンター(Future Center)とは、多様な人たちが集まり複雑化したテーマ(課題)について「未来志向」、「未来の価値の創造」といった視点から議論する「対話の場」のことを指します。岐阜大学ではこのような地域との対話を創発するためのフューチャーセンターや多様な人との交流ができる空間を構築・運営し、地域との「協学」を推進します。
①地域との対話を通して地域が直面している複雑・広範化した課題の解決に向けて取り組みます。
②フューチャーセンターを活用し、社会貢献に取り組みます。
・産業への貢献:研究主体から学生・生涯教育を含めた地域課題解決を目指します。
・地域政策への貢献:地域課題を浮き彫りにし、地域と協学しながら解決するという循環を創出します。
・地域教育と文化への貢献:地域をめぐる「学び」の仕組みを作り、地域住民が自らの地域課題に即して行政と協働して解決し得るよう支援します。
ぎふフューチャーセンターは、大学、地域、自治体がともに地域の課題を探り、未来に向かって新しい価値をつくる対話の場で、岐阜大学の地(知)の拠点整備事業の取り組みの一つです。今年度の第10回は、郡上市の石徹白(いとしろ)地区で開催し、現地視察、地域住民へのヒアリング、地域住民との対話等を通じ、石徹白での暮らしや少子高齢化などの地域課題について考えました。
地域の課題への取り組みを探る
石徹白(いとしろ)を知り地域の課題解決を考える
来年度以降から実施する岐阜大学の教育プログラムの先行的な取り組みとして、地域の課題を発掘するために、1月16日(金)から1月18日(日)に郡上市白鳥町石徹白地区で「雪国『石徹白』体験&交流合宿」(学生11名、教職員6名が参加)を行いました。 初日は現地視察や住民との対話などを行い、石徹白の基本的な情報(地理、人口、歴史、産業、暮らしなど)を知ることができました。
2日目は地域の課題や取り組みをさらに深く学ぶため、地域住民へのヒアリングを行いました。コミュニティカフェの代表者から、女性が地域活動へ関わるきっかけや子育ての話を、地域づくり協議会の会長からは、合併、地名の由来、白山信仰など歴史や文化の話を、地域おこし協力隊の方から石徹白ふるさと食品加工組合の取り組みや地域でのイベント(「星降る里のキャンドルナイト」など)の話を聞くことで、合宿の参加者は石徹白地区の課題や取り組みを知ることができました。その後、大学生が4つのグループに分かれ、地域の課題解決に向けて大学や大学生がどのような取り組み(プロジェクト)ができるかを議論しました。最終日には大学生が提案するプロジェクトを地域住民へ向けて発表し、意見交換を行い、地域の方々からプロジェクトの実現を期待する声を聞くことができました。今後のプロジェクトの展開が注目されます。
大学生が考えたプロジェクト
・生協石徹白フェア~大自然の恵み~
岐阜大学生協の店舗で石徹白の商品を販売、食堂で石徹白の郷土料理を提供することで、食を通じて岐阜大学生に石徹白を知ってもらう。
・子育てしたい町石徹白
自然環境を活かし、子どもの豊かな人間性を育てる。自然とアートを組み合わせた自然体験を行い、子どもの創造性、自主性を育む。
・石徹白人(いとしろびと)の話~地域内外の交流促進~
地域住民(主に高齢者)と他地域の人々が対話を行い、地域内外の交流を促進する。風習の映像撮影、マンガの作成など石徹白の伝統文化を記録する。個人所有の物品を集めた私設の民俗博物館を開設する。
・冬と夏の石徹白ツアー
冬は天体観測、マラソン、雪祭りを開催する。夏は主に小中学生を対象に夏季休暇の課題完成、収穫体験、星空観察、調理実習を行うサマースクールを開催する。
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石徹白地区の見学と雪下ろし体験 | ![]() |
石徹白の地域資源を把握するため、白山中居(はくさんちゅうきょ)神社、石徹白清住(いとしろきよずみ)邸、小水力発電機などを見学しました。白山信仰、福井県からの越県合併などの石徹白の歴史、地域での新しい取り組みを学ぶことができました。視察以外に雪下ろしを体験し、雪国の暮らしの大変さを、身をもって体験する良い機会になりました。
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拝殿視察(白山中居神社) | 史料を紐解く(石徹白清住邸) | 石徹白の産業の一つを知る (農産物加工所) |
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1階部分が屋根で覆われた家 | 除雪作業 | 雪下ろし体験 |
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今後も楽しみな山里を知った 山あいの集落の様子や地域の活動を知り、さらにグループワークを通じて深く考えることができたので勉強になりました。人口減少が進む中、「むら」を維持するために、若者の受け入れや子育ての推進などに取り組む地域の勢いにふれ、将来が明るいと感じました。学生が子どもとふれあう「サマースクール」の提案は、実現できるとおもしろいと思います。
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地域を深く思う石徹白の人々 地域住民の話を聞けた貴重な機会でした。石徹白の良さの一つは、地域を深く思う方が多いことだと思います。学生に親しく、優しく接し、真剣に向き合ってくださり、住民の方の温かさを感じました。夏も冬も楽しめる石徹白に他の学生にも行ってほしいです。岐阜大学生協で石徹白の特産品を販売する提案は、学生が取り組んでいくことができる内容だと思います。
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大学生たちの成長を感じた3日間 石徹白では大学生のスタディツアーをたびたび受入れていますが、今回は、学生たちのレベルの高さに驚かされました。地域住民の思いや地域の特性を読み取った上での提案は、いずれも実現性のある素晴らしい提案でした。地域志向教育を通じた学生たちの成長がたくましく感じられる3日間でした。
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