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令和7年度第2回地域学校協働活動推進員等育成研修(全4回)を実施しました

 令和7年8月26日(火)に、ぎふ地域学校協働活動センターの人材育成事業の一つである「第2回地域学校協働活動推進員等育成研修」(以下、「育成研修」)をオンラインにて実施しました。県内各地域の社会教育行政、公民館等の施設、学校、地域団体等で活躍している81名が受講しました。

 今回は、はじめに事例紹介として、岐阜市立岐阜小学校学校運営協議会会長の青山朋宏氏、高山市大八まちづくり協議会事務局長の山本真紀氏、下呂市子ども家庭センター統括支援員西垣内弘子氏から講話をいただきました。こども基本法に基づくこども計画策定が進み、教育と福祉を共に考えていくことが重要であることに鑑み、今年度から子育て支援の内容も研修に加えています。

 青山氏からは岐阜市立岐阜小学校における「ふるさと学習」を基盤とした学校・家庭・地域の協働による子どもの非認知能力を大切にした教育活動の実践について、山本氏からは「WIN-WINでつながる子どもを核とした地域づくり~地域コーディネーターの役割を考える~」と題し、高山市東山校区における多様な地域学校協働活動について、西垣内氏からは下呂市の子ども家庭センターの役割と子育て支援の取り組み内容についてお話しいただきました。

 次に、ブレイクアウトルーム機能を活用した参加者間での意見交換の時間を設けました。事例発表や講評を受けて各自の地域に照らし合わせたコメントが交わされ、各地域での活動の状況や課題などが共有されました。

 それぞれの講話とブレイクアウトルームセッションの後に実施した質疑応答では、「具体的に誰が事業等作るのか」「講師等の集め方はどのようにしているのか」、「現状の課題を教えてほしい」「家庭の関わりはどのようなものか」「児童委員との連携の活動はあるか」といった具体的な事業の開発・運営、福祉領域について尋ねる質問があり、講師―参加者間で活発な意見交換がなされました。

 次回の育成研修は令和7年9月30日(火)に実施します。ぎふ地域学校協働活動センターでは、今後も研修事業等を通じ、地域学校協働活動にかかわる方々を対象とした学びや情報共有の場を提供していきます。

愛知県蒲郡市の放課後子ども教室「読書感想文講座」に学生ボランティアを派遣しました

 令和7年8月7日(木)、ぎふ地域学校協働活動センターの二村玲衣センター員が担当する講義の一環として、愛知県の蒲郡市立蒲郡中学校で実施された放課後子ども教室「読書感想文講座」に学生ボランティアを派遣しました。

 「読書感想文講座」は2022年より、蒲郡市放課後子ども教室支援員の早川康子氏と蒲郡市地域学校協働活動推進員の山本紀代氏(元学校図書館支援員で講師を務める)により、地域の小学生を対象に実施されています。地域の中学生・高校生や、小中学校教員、児童・生徒の保護者や住民が協力して小学生の読書感想文を支援することが講座の主な内容であり、世代を超えた交流の場として機能してきました。
 岐阜大学との協働は今年度で2回目です。当日は小学生10名、中学生15名、高校生7 名、蒲郡市の教員や地域学校協働活動推進員等を含む講師・サポーター7名、岐阜大学から学生19名、教員1名が参加しました。加えて、昼食の調理スタッフ・午後のお抹茶体験講師として地域住民16名の協力があり、同日は総勢80名が同講座に関わりました。

 講座は、講師の山本氏や地域の住民、教員が見守るなか、小学生1名につき中学生・高校生・大学生が複数名ついてグループをつくり、大学生の進行のもと小学生に本の内容や感想をインタビューするかたちで進められました。小学生の言葉を、中学生・高校生・大学生がそれぞれの視点から問いかけ、掘り下げていくことにより、小学生が本を読んで感じたことをグループで共有していきました。
 地球温暖化に関する本の感想文に取り組む小学生をサポートしたグループでは、「温暖化が身近で起こるならどうする?」といった学生の発問をきっかけに、本に書かれた内容を具体的な日常のイメージとつなげることができ、単に本を読んだ感想にとどまらない、自分ゴトに引き寄せた思いを込めて、感想文を書くことができました。

 昼食は、日頃から「がまなん食堂」に携わる地域住民の方々が美味しいカレーを調理しご提供くださいました。
 その後は地域住民の方によるご指導のもとお抹茶体験をしたり、カードゲームや立体パズルをしたりと、世代を超えて楽しみあい、参加者間でさらに交流を深めました。

 参加した学生からは、「自分自身が読書感想文に苦手意識をもっていたからこそ、『どう書いたらいいか分からない』という子どもたちの気持ちに寄り添うことができると思った」、「子どもと関わることに苦手意識をもっていたが、今回の関わりを通して、はじめは難しくても働きかけていくことで打ち解けて仲良くなれるのだと知った」等の感想があり、講座を通して多様な気づきを得ていました。さらに、「教育は学校の中だけで完結するものではなく、地域全体が⼦どもたちを育てる舞台であるという考え⽅を実感した」、「地域ボランティアの方同士で談笑している姿を見て、こうした地域活動の場は、子どもと大人の交流だけでなく、大人同士を交流させることにもつながると感じた」といった本講座のような地域学校協働活動の意義への気づきの声や、「私たち自身も、学生という⽴場から地域の⼀員として、⼦どもたちの未来を応援する「つながり」をこれからも⼤切にしていきたい」、「こうした学校や家庭以外の地域の居場所は、未来を担っていく子どもたちにとって大切だと感じた。自分も学校と地域の架け橋となれる教員を目指していきたい」等、今後に活かしていきたいという声もありました。

 ぎふ地域学校協働活動センターでは、今後も蒲郡市をはじめとした岐阜県内外のさまざまな地域と関わりながら、よりよい地域学校協働活動のあり方を探究し、実践を進めていきます。

蒲郡市内で地域活動を行う団体「小江まちカフェ」が主体となり、地域住民の協力のもと、蒲郡南部小学校の子どもを対象に実施している子ども食堂。

令和7年度コミュニティ・スクール地域学校協働活動研修会(教職員研修会)を実施しました

 令和7年7月23日に、「令和7年度 コミュニティ・スクール 地域学校協働活動研修会(教職員研修会)」をオンラインで実施しました。今年度から、県総合教育センターとの共催で開催し、小中学校教員をはじめ幼稚園、高等学校、特別支援学校と多様な校種の教職員、また事務職員が参加しました。
 講師は、昨年度に続き、文部科学省CSマイスター、DX戦略アドバイザー、青森県教育改革有識者会議副議長 森 万喜子 氏です。「進めよう!コミュニティ・スクールと地域学校協働活動~Win-Winでつながる地域とともにある学校~」をテーマにご講演をいただきました。参加者の感想の一部を紹介します。

  〇その気さえあれば、多様な人とつながってワクワクすることができそうだと改めて感じました。
  〇地域の大人が、地域の宝である子どもたちのために「手を貸したい」という意識になっていただくことが、一番重要だと感じました。
  〇形を整えるのではなく、できることをできる範囲でできる人がやっていくという考え方に納得しました。
  〇学校は公共財ということを再認識して、地域で活用する場にしていくこと、協議会で困り感を訴えていくこと等学びが多かったです。
  〇事務職員は、地域と学校をつなぐ役目を担うことができるような気がしています。
  〇繰り返し話す場を持つことなどを通して、“つながり”を築いていくことが協働活動の核になることを学べました。
  〇「校長が顔を出して、仲良くなることが一番のおすすめである。」の言葉が印象的でした。
  〇各学校、地域、自治体によって全く違う。だからこそ正解ではなく、最適解を皆で熟議して決めていけばよいことを理解しました。
  〇発想の転換をしつつ、よりよい形で無理なく持続できることを考えたいです。

 講師の豊富な実践に裏打ちされた理論とアイデアあふれる具体事例の紹介やブレイクアウトルームを活用した交流、チャットでの質問タイムにより、参加者がコミュニティ・スクールと地域学校協働活動を学校と地域がWin-Winで進めるための多くのヒントを得られ、今後の見通しをもつよい機会となりました。